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クズでごめん、

第3章 Lazy Ex


喫煙所を出て、フロアに戻る。
午後イチの会議資料はもう昨日のうちに仕上げてある。
後輩の作った提案書に目を通しながら、赤入れを最小限に留めて突き返す。

「先輩、この直しめっちゃ的確っすね……いつもありがとうございます」
「別に。次からは自分で気づけよ」

素っ気なく返しながらも、悪い気はしない。
仕事だけは、ちゃんと結果が返ってくる。
やった分だけ、評価される。単純で分かりやすい。
 
「先輩、今日この後空いてます?
 この間話した、新しくできたイタリアン、一緒に行きません?」

デスクに戻る途中、同じ部署の女の子に呼び止められた。
人懐っこい笑顔。誘い方も上手い。
以前の俺なら、予定が空いていれば普通に行っていた。
たぶん、その子のことを深く知ろうともせずに。

「あー、悪い。今日ちょっと予定あって」
「そっか、残念です。また予定合うときお願いします」

そう言って軽やかに去っていく後ろ姿を見送りながら、
自分でもよく分からない予定を口にしたことに気づく。

予定なんて、本当は何もない。
ただ、なんとなく今日はあいつに会いたい気がしただけだ。
月末。
付き合っていた頃、あいつはこの時期になるといつも残業を止められていた。
今もそうなのかは知らない。
知らないくせに、会える気がした。
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