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愛しのサプフィール

第12章 冬毛


「もしかして、最近やたらと毛皮製品ばかり贈っていただいているのは、まさか……」
「ええ。喜ぶかなと思いまして」
サプフィールの羞恥など露知らず、平然とスヴェトザールが返す。
赤く火照った顔を背けながら、サプフィールは眉尻を下げた。
「……みっともないところばかり見せてしまって申し訳ないです」
犬を捏ねくり回し猫に追跡を躱され、バレていないと思っていた癖まで普通に見られていた。
もっと関心を向けてほしいと願いはしたものの、知らなくていいところまで把握されている。この間のサルビアの件もそうだ。
「みっともないとは思っていません。毛皮……嬉しくなかったですか?」
「いえ、嬉しいです」
「なら良かった」
安堵した様子で紅茶を啜るスヴェトザールを見て、サプフィールは溜め息を吐く。
どんなに貴婦人らしからぬ姿を晒そうとも、スヴェトザールは叱責することも呆れることもしない。
去年ならば関心がないからと腐っていたものの、ちゃんと話し合うようになってからは愛情ゆえの許容だと実感できる。
しかしそれが尚更恥ずかしくも感じた。
「そういえば、馬に興味はありますか?」
「馬……ですか?」
「今の時期、馬も冬毛で覆われています。触り心地がいいので、明日ご都合がよろしければ私と一緒に厩舎まで行きませんか?」
屋敷の厩舎。危ないし汚れるからと、普段勝手に近寄らないようにと言われていた場所だ。
そんなところに連れて行ってもらえると聞いてサプフィールは表情を明るくした。
「な、撫でさせていただけるんですか……!」
「ええ、もちろん」
馬車に乗るときや、誰かが乗っているときくらいに眺めるしか機会のない馬。それに触れる。
「危なくないですか……?」
「繊細な動物なので気を付けなければならないことは沢山ありますが、変に刺激しなければ大丈夫なことが多いです」
「触り心地はどんな感じですか?」
「犬や猫に比べて厚みがあって少し弾力があります……部位や触り方によって感触が違うので、ぜひ明日ご自身で体感してみてください」
馬の話題に食いついたサプフィールを見て、スヴェトザールが少し口元を緩ませる。
「私の愛馬が特に毛深いので、貴方に触ってもらいたいです」
サプフィールはその夜、いつになく明日を楽しみに思いながら寝支度をし、床に就いた。









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