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愛しのサプフィール

第14章 訪問


2人に訊かれたカストーリヤは顎に手を添え、考え込むような素振りで口を開く。
「卿は……まだ貴族になったばかりなので、非常に扱いやすい存在だなと。貴族としてやっていくための礼儀礼節や常識を教え込む手間はありますが、その分、思想や価値観を我がザイツェフ家に染めやすいです。軍上層部や官僚との人脈もお持ちだと聞いていますし、政治的・軍事的な足場を作ることが期待できます。何より卿はご自身の力で貴族に列せられた将来有望な方なので、正直なところ……そこらのボンクラ子息とくっつけられるより余程好ましく思います」
どこも見ていない視線でつらつらと言うカストーリヤにポルーシャが顔を引き攣らせる。
「お姉様ったら……将来の旦那様は手駒じゃないのよ?」
「ええ、わかっているわ。持ちつ持たれつでやっていくつもりよ」
「愛情がない〜っ。そんな結婚、絶対つまらないわ!」
苦々しい顔をしながらポルーシャが首を横に振る。
「まぁ……カストーリヤ嬢が縁談に前向きなようでよかったです」
「サプフィール様にそう思っていただけて嬉しいですわ。私の結婚によって男爵家を今より押し上げられたら、ポルーシャにもより良い縁談を持って来られるかもしれませんし」
「余計なお世話だわっ。どうせそのうち相手は決まりますもの」
カストーリヤの言葉にポルーシャが腕を組んでそっぽを向く。
「そんなこと言って、あなた縁談を断ってばかりじゃない。良い嫁ぎ先があんなにあったのに、一体何が不満なのかしら」
「お姉様にとっては良い条件かもしれないけど、私にとってはそうじゃありませんもん」
結婚に対する価値観は人それぞれのようだ。
家のため。愛のため。どちらも否定するものではない。
サプフィールは2年前のスヴェトザールとの縁談を思い返しながら、戯れるように言い合う姉妹をゆっくりと眺めて過ごした。









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