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愛しのサプフィール

第14章 訪問


「……お見苦しい格好で申し訳ございません。最近、ポルーシャはやけに厩舎に行きたがるのです」
「馬を見に行かれていたのですか? この間、私も厩舎で主人の馬に触らせてもらいました。 馬って大きくて撫で心地が素敵ですよね」
それからしばらく近況を話し合い、2人が1杯目の紅茶を飲み終える頃。ポルーシャが着替えから戻ってきた。
「お姉様たち、今何の話してましたの?」
「わたくしの縁談が進みつつあることをサプフィール様にお伝えしていたところです」
カストーリヤの縁談の相手は軍功によって勲章と小領地と世襲貴族の身分を得た無爵位の新興貴族だそうだ。
「上手く成立するといいですね。もうお会いになられましたか?」
「二度ほど顔合わせがありました。ですが、会話はあまり弾みませんでした」
「こないだの軍人さん……私はお話はしてませんけど、なんだかお堅そうな人でしたわね〜。顔も怖かったですし……」
姉妹が揃って眉尻を下げる。軍の人間というのもあり、あまり愛想の良い感じではなさそうだ。
「お人柄についてはまだよく存じませんが、父は非常に堅実な方だと申しております」
言いながら、カストーリヤが紅茶に視線を落とす。
「それに……此度の縁談は双方にとって利益になるものです。ザイツェフ家は王家から評価されている新興貴族との結びつきが出来ますし、向こうは古くからの貴族家との姻戚によって家柄と社会的信用を得ることができます」
「家にとってはそうだけど、お姉様にとってはどうなの?」
ポルーシャが、まるで人身御供にでもなるような口調で言うカストーリヤに訊く。
「差し支えなければ、私も聞きたいです。カストーリヤ嬢にとってはどうですか……?」
嫌々縁談をまとめようとしているのではないか、と心配そうにサプフィールもそう続けた。
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