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愛しのサプフィール

第12章 冬毛


冬の只中のある日の午前。サプフィールは領地管理人から冬季慈善に関する今週の報告を受けた。
主に防寒着や薪、食料の配給が足りていない村や働き手を失った家庭への支援についての話だった。
ソーニャが淹れた紅茶を飲みながら預かった申請書類に目を通していると、使用人が手紙と小包を持ってきた。
「ありがとう。……あっ、姉妹からだ」
ザイツェフ男爵の娘であるカストーリヤとポルーシャからの手紙だった。
春の公爵家での招待会以降、交友が続いている。
「旦那様からの贈り物もございます。こちらに置かせていただきます」
そう言って、使用人はテーブルの上に小包を下ろすと一礼し出ていった。
「……」
暖炉の火に当たりながらサプフィールは目の前の小包を見る。大きさから言って衣類だろう。
そう思いながら包装を解く。
「また毛皮かな」
箱を開け、薄紙を開くと中には茶色と白と灰色が混ざったような配色の毛がみっちりと詰まっていた。
持ち上げると、密度の高いスベスベとした柔らかい毛足で指が埋まる。
何らかの動物の毛皮で作られたマフだ。
また毛皮だ、と思いつつも触り心地はとても良い。マフを膝の上に乗せたまま書類へ視線を戻す。
やはり冬は生活が思い通りにいかなくなることが多いらしい。冬服や毛布の配給を希望する声は後を絶たないし、秋の収穫が悪かった村の人々も食べるものに困っている。
慈善物資の在庫の確認をし、女中頭と相談しつつ準備を進めなければ。
午後にやることを頭の中で整理していると、ふいに部屋の扉がノックされた。返事をし、ソーニャが入ってくる。
「サプフィール様、お茶のおかわりは……あら、いつの間に猫が?」
「猫?」
サプフィールの膝の上を見ながら近寄ってきたソーニャが、すぐにその正体に気付いて立ち止まる。
「……失礼しました。毛皮だったんですね」
「あっ、うん。ごめん、撫でてたから紛らわしかったね」
無意識に撫でていた手をマフから退け、テーブルの上に書類を置く。
「ねぇ、これすごく気持ちいいよ。ソーニャも触ってみて」
「では……」
ソーニャが差し出されたサプフィールのマフにそっと触れる。
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