第8章 夏至
「あれは……何やってるの?」
「何でしょうね。訊いてきます」
そう言ってソーニャが近くにいる村娘に寄っていき、また戻ってきた。
「花冠を川に流して占いをしているそうです。流れ方から将来の縁を読み、お嫁に行けるかどうかを見るのだと言っておりました」
「お嫁かぁ……」
未婚の娘がやる占いらしい。サプフィールはいくつもの花冠と、それを真剣に見つめる村娘や令嬢を見た。
「私も……やってみたいな」
既婚者がやったからといって罪に問われるわけでもない。
サプフィールは近くの茂みから花を摘み、他の娘たちのように花冠を作ろうとした。
見よう見まねで茎同士を繋げようとするも、上手くつながらない。
「うーん、難しいね」
「大丈夫です。私にお任せを」
ソーニャがサプフィールの手からクチャッと曲がった花を取り、そこに新しく摘んだ花を追加し編んでいく。
「わぁ……器用だね。ありがとう」
「光栄です。できましたよ、流しに行きましょう」
あっという間に花冠を作ったソーニャが誇らしげな顔をしながらサプフィールに手渡す。
「うん。でも……やっぱり、自分でも作ってみたいな」
「いいですね。まずは2本用意し片方を結んで……」
「こう?」
「合ってます。それからは同じ繰り返しです」
ソーニャに教えられつつ、サプフィールがおぼつかない手つきで花を編んでいく。
力加減が難しく、使われたほぼ全ての茎や花が折れたり潰れたりしていた。
サプフィールは鮮やかな緑と色とりどりの花で編まれた貧相な花冠を大事そうに持ち、ソーニャと川辺に近付く。
「せーので流そうか」
「はい」
せーの、の声と共にそれぞれの花冠を川に浮かべた。ゆらゆらと揺れながら2人の花冠は下流へと向かっていく。
「そういや、これってどうやって占うの?」
「このまま遠くへ流れていけば良縁、途中で引っかかったり同じ場所で漂うと結婚はまだ先で、沈んでしまうと不吉なんだとか」
「へぇ」
川辺に座り込んだまま2人で静かに花冠の行方を眺める。
少しずつ離れていく花冠を見ながら、サプフィールはぼんやりとスヴェトザールのことを思い浮かべていた。
「……あ」
まださほど流れていかないうちに、片方が沈んだ。サプフィールの方だった。
「あら……」
「ふふ、既婚者なのにね」
「私のも途中で引っ掛かってしまいました」
