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愛しのサプフィール

第6章 遠出


酔いが醒めるまで近くにいてくれるらしい。
傍に立ったままの2人に見守られつつ、何度もグラスを傾ける。
「お姉様ぁ、私もワイン飲みたい」
「かまいません。ただし服を汚さないように」
ちびちび水を飲みながら、サプフィールは一刻も早く酔いを醒まそうと焦っていた。
少しずつ思考がはっきりしてきている実感はあるものの、それはそれで醜態を晒したという事実を受け入れなければならない。あまりにも恥ずかしくて情けない気持ちが押し寄せ、今ひとつ正気に戻りきれない。
「ご面倒をお掛けして申し訳ありません……だいぶ楽になりました。お名前を窺ってもよろしいですか?」
さっきと違いはっきりと見える視界には、カスタード色の髪をした、瓜二つの令嬢が二人並んでいた。
サプフィールへ丁寧にカーテシーをしながら答える。
「わたくしはカストーリヤ・ザイツェフ。隣にいるのはわたくしの妹のポルーシャでございます」
「ポルーシャ・ザイツェフです。私たちのお父様はコズロフ領の近くの領主のザイツェフ男爵でしてよ〜」
姉の方はかしこまって、妹の方はのんびりと自己紹介をした。
「ザイツェフ男爵のご令嬢でしたか……今回の礼は後日改めてさせてください」
帰ったら手紙とお礼の品を贈ろう、と思いつつサプフィールが言う。
「そんな、当然のことをしたまでです」
「せっかくなのでお話をして過ごしましょうよ〜。ご近所に年の近い婦人が新しく増えてとても嬉しいんです」
「ポルーシャ。およしなさい」 
身を乗り出すポルーシャをカストーリヤが制する。
サプフィールは2人とどう接するべきか分からずに眉尻を下げたものの、柱に掴まってゆるゆると椅子から立ち上がった。
「とりあえず、私だけ座っているのもなんですし、3人で掛けられるところに移動しましょう……」
するとカストーリヤが焦ったように、ぐらつくサプフィールへ両手を伸ばす。
「いえっ、わたくし達は立ったままでも大丈夫です。どうか楽になさってください」
「でも、それでは貴方たちが……」
スカートが触れ合うほどの距離でカストーリヤとサプフィールが立ち往生する。
それを見てポルーシャがサプフィールを挟むようにして立ち、姉に言う。
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