【H×H ミルキ】夏の大作戦 〜軽井沢に行きませんか?〜
第6章 恋のバトンタッチ
穂乃果は、そっとミルキを見た。
(……そんなに、準備してくれてたんだ)
天気が変わった時の予定に、ランチの後に何をするかまで。
それだけでなく、友達二人を別の場所へ連れていくための用意までしたらしい。
(……どうして、そこまで)
穂乃果には、どう考えても分からなかった。
普通に誘ってくれればよかったのに。そう思いながらも、穂乃果はミルキから目を離せなかった。
彼はますます額に大汗を浮かべ、イルミの隣で所在なさげに立っていた。
「……だ、だから」
誰に聞かれたわけでもないのに、慌てて言い訳を始める。
「初めて会うんだし、段取りくらい決めといた方がいいだろ。こういうとこ、混むし。店だって予約しとかねーと……」
「……うん」
「それに、お前ら三人で来てるし。そうなると、なかなか二人で話す時間とか……」
そこまで言って、ミルキは急に黙った。
「…………」
「…………」
「……いや、だから、別に変な意味じゃなくて!」
顔を真っ赤にして必死に言い繕っているその姿を、穂乃果は見つめた。
いつもなら、どんな問題にもすぐ答えてくれるミルキ。
分からないことを聞けば、呆れながらも最後まで教えてくれるミルキ。
そのミルキが、今は自分の顔を見ることさえできずにいる。
(……あ)
穂乃果は、ようやく腑に落ちた。
あれほど周到に準備しておきながら、ミルキはいざ自分を前にすると、挨拶さえままならないのだ。
(……もう、ミルキくんったら)
穂乃果は少しだけ笑ってしまった。
「……何だよ」
ミルキが不安そうにじとっと穂乃果を見つめた。
「ううん」
穂乃果は首を振った。
「ありがとう、ミルキくん」
「…………!」
ミルキは口を開いた。
けれど、何も出てこなかった。