【H×H ミルキ】夏の大作戦 〜軽井沢に行きませんか?〜
第6章 恋のバトンタッチ
「……何してるの?」
イルミの声で、二人は同時に顔を上げた。
「うるせえな!」
ミルキが即座に言い返した。
「別に何もしてねえよ!」
「何かしないの?」
「くっそ!」
穂乃果は目を丸くし瞬きを繰り返す。
(イルくんはミルキくんの……お兄さん)
そう思った瞬間、今日一日の出来事が、頭の中で次々とつながり始めた。
駅まで迎えに来てくれたこと。
移動中、何度もスマートフォンを確認していたこと。あの事務連絡のような妙に淡白なLINEでのやりとり。
カラオケではあまり食べすぎないようにと言われた。
そして、何度も腕時計を見ていたこと。
「あ……あの!」
穂乃果は思わず声を上げた。
「じゃあ、イルくんが私をここまで連れてきてくれたのって……」
「ミルキに頼まれたから」
イルミはあっさり答えた。
「じゃ、じゃあ……突然、夏希と莉子とはぐれたのは……?」
「ミルキは君と二人きりになりたかった」
「イル兄!!!」
ミルキの声が裏返った。
「余計なこと言うなよ!」
「何が?」
「何が、じゃねーよ!」
「え? そういう計画だったでしょ」
「それを今ここで言うなっつってんだよ!」
イルミは少し考えた。
「……もう任務は終わったし、隠しておくのも面倒だと思うけど」
穂乃果は二人を交互に見た。
夏希と莉子がいなくなったのも。
イルミが自分をここまで連れてきたのも。全部、ミルキが?
(……そんな、まさか)
いくら何でも、大げさすぎる。
そもそも、ミルキに会う約束だってちゃんとしていた。
それなのに、わざわざこんなことを?
穂乃果は困惑したまま、ミルキを見た。
ミルキは真っ赤な顔でイルミを睨んでいた。
「ったく、ふざけた報酬取っといて余計なことばっか言いやがって!」
「仕事はちゃんとしたでしょ」
「そういう問題じゃねーんだよ!」
「じゃあ、どういう問題?」
「…………!」
ミルキは何か言い返そうとした。
けれど、穂乃果と目が合った途端、また口をつぐんでしまった。
「…………」
穂乃果も思わず目を逸らした。
木々の向こうから、虫の声が聞こえてくる。