第12章 全て元通り
椿の部屋に入ると、悟はゆっくりと椿をベッドに横たえた。
ギシリとシーツに埋もれると、椿はまたうっすらと目を開けて悟を見た。
悟は手を伸ばして腫れ上がっている椿の目元を指で撫でた。
また椿の瞼がゆっくりと下りる。
それ以降椿は目を開けなかった。
しばらくすると椿から寝息が聞こえてきた。
悟は部屋を出ることなく、ベッドの端に腰を掛けて椿を見下ろしていた。
後悔はどんなに早くても遅いモノだ。
起きたら悟の姿は無かった。
だけど、たまに目を覚ますたびに覗き込んでいた顔、時折手を握られた感触。
夢と現実の狭間で、ずっと悟を感じていた。
同時に、昨夜の自分の醜態が朧げに蘇る。
「……最悪……。」
呪霊に襲われたこと、直哉のこと。
そして悟に怒りをぶつけたこと。
今まで必死に我慢して耐えていたことが、たった一夜で崩れてしまった。
悟に言ったことを全て覚えているわけでは無かった。
だけど椿が錯乱しているあいだ、自分を見ていた悟の表情は覚えていた