第12章 全て元通り
悟は椿の視線を気にせず、椿の膝裏と背中に手を回した。
悟に抱き上げられた瞬間に、椿は悟の腕の中で暴れた。
「っ…放して!!放しなさいよ!!」
悟は暴れる椿を抱き締める手を強めるだけだった。
「っ!!」
椿はその悟の態度にカッとなり、悟の胸元を拳で殴った。
しかし、そんなことも気に留めず、悟は古民家から椿を連れ出した。
椿は何度も悟に拳をぶつける。
そして、何度殴っても悟が自分を放す気がないと分かると、奥歯を強く噛み締めた。
「あんたなんか! 私を助けてくれないくせに、私が自分を守るための武器まで止めるの?!」
悟の胸元を強く掴んで椿は叫んだ。
一瞬、悟の体がピクリと反応する。
「結婚もしてくれない! 昴まで取り上げる!!」
一気に捲し立てた椿が呼吸を整えるために、息を吐いた。
悟は椿がなにを言おうと、彼女を無視していた。
それが余計に椿を逆上させた。
「あんたなんか初めから好きじゃなかった!!」
その言葉に、初めて悟の足が止まった。