第11章 イカれた世界
椿はこめかみを押さえて、顔を俯かせていた。
必死に何かを考えているように、伏せた目は一点を見つめている。
直哉はそんな椿をジッと見ていた。
「……最近、妙な夢見るんやけどな。」
直哉の言葉に椿はビクッと肩を震わせた。
ゆっくり顔を上げて、直哉を凝視するように目を見開く。
直哉はそんな椿を見て、笑みを浮かべていた。
「感情も感触も、やけにリアルなんや。……夢ん中では、椿は俺の恋人やったで。」
直哉は体を屈めると、椿の顔の横に手を置いた。
「……あの夢、なんなん?」
まるで元凶が椿かのように、直哉は笑みをやめて言った。
かぁっと頭に血が昇るのが分かった。
椿は手を振り上げると、直哉の胸元を強く叩いた。
「あんたがっ…!あんたがなんなのよ!!」
殴られた箇所を見て、直哉の顔が歪んだ。
椿の手首を掴むと、そのままシーツに押しつけた。
「いつからあの夢見てたん?」
椿は息を詰まらせた。
その言葉で確信した。
直哉は同じ夢を見ている。