第11章 イカれた世界
「…私を殺そうとしたの?」
「俺が?なんでや?」
「だってあんたは…!!」
夢で何度も私を殺すから!!
最後の言葉をかろうじて呑み込んだ。
頭のおかしいやつだと言われるだけだと分かっているから。
だけど、禪院直哉がそういう奴だと、椿は知っている。
直哉は深くため息を吐くと、椅子から立ち上がりベッドの端に腰を下ろした。
ギシッと沈むベッドと同時に、椿の肩もピクッと跳ねた。
「俺が祓ったったんや。分かってるやろ。」
直哉の言葉を聞いて、椿は拳を握った。
「…だったら…、誰が私を殺そうとするのよ…。」
「せやから、なんで俺がそないなことせなあかんねん。」
直哉が呆れたようにまたため息を吐く。
助けられたのは分かっている。
だけど、目の前の男も同じように自分を殺した相手だ。
殺した?夢で?
現在にはなにもされていない?
いやでも、直哉はそういう男だ。
椿の頭の中で、色々な言葉が反復する。
現在と夢の境が無くなってきている。