第11章 イカれた世界
最近反動のように毎日見ていた悪夢を少しも見ないで目を覚ました。
その事実を働かない頭が認識した時に、椿はようやく今の状態を思い返すことが出来た。
(…私…、今日間違いなく夢と同じように呪霊に殺されかけた…。)
そしてその後……。
「起きたんか?」
「!!」
椿はベッドに横になったまま、声が聞こえた方向に顔を向けた。
直哉の姿を確認すると、寝ぼけていた目が大きく見開いた。
薄暗い部屋の中、窓からの月明かりだけが頼りだった。。
しかしハッキリと、椿はその輪郭を確認する。
椿が寝ているベッドのすぐ横に、直哉は椅子に座って、寝ている椿を見下ろしていた。
急に椿の中で、彼への激しい愛と憎しみが体を襲う。
直哉を目にすると、椿はいつも矛盾した二つの意識に支配される。
夢の中での燃えるような直哉への愛。
しかし現在は、かろうじてその気持ちよりも、自分の愛を踏み躙って無残に殺したこの男への憎しみの方が優っていた。