第11章 イカれた世界
「……俺から話せることはありません。聞くなら椿さんに聞いてください。とにかく俺は独自で禪院直哉を探します。どうせ禪院家には居ないでしょうし。」
「……………。」
昴の言葉は『何かある』と言っているようなものだった。
悟はポケットに入れている拳に力を入れた。
僕と結婚したいと言っていた椿。
その背景に禪院直哉を思い浮かべるのは僕の杞憂だろうか。
昔から椿の側に居る一条昴が気に入らない理由はもう分かっている。
結局僕は昔から椿が気になっていたんだ。
それとは別に禪院直哉に対する警戒。
悟の中の何かが言っている。
『あいつにだけは椿に触れさせない。』
それは昴に対する気持ちよりも遥かに大きい警告だった。
「……………。」
目が覚めると知らない天井だった。
椿はしばらく呆然とその天井を見ていた。
普通なら目が覚めて知らない場所に自分がいたら慌てるだろう。
だけど椿が目を覚まして一番最初に確認したのは、『夢を見なかった』。
その事実だった。