第11章 イカれた世界
「殺す。いやもう禪院家潰そうか。」
「……………。」
椿の事故現場で、しばらくその光景を見ていた悟が思いついたように口にした。
昴は悟を一瞥した後に、壊れている後部座席に体を入れた。
……まだ椿の残穢は残っていた。
……良かった。
昴は椿がここにいた痕跡に、安堵の息を吐いた。
少なくともここで死んだわけではない。
しかし状況は最悪だった。
椿を襲ったであろう呪詛師の死体はあった。
今回の事件は禪院直哉の仕業では無いのかもしれない。
椿と同じように、その場には直哉が術式を使った残穢も残されている。
(……よりにもよって、禪院直哉…。)
椿がずっと警戒し、昴に殺してくれとまで懇願した本人が椿と一緒に消えた。
椿は絶対に直哉とは関わらないようにしていた。
悪夢が現実でも起こらないように。
椿は、悪夢に引き寄せられるように直哉が自分に纏わりついてくると言っていた。
この結果も、導き出された因縁なのだろうか。