第11章 イカれた世界
パァン!!
風船が弾けたような音が、空気を切り裂いた。
その瞬間に暗闇が晴れて、陽の光が車の中に差し込んだ。
全身を覆っていた異質な空気が弾けて、椿の体は後部座席に落ちた。
「っ…。」
体の倦怠感は抜けなくて、重たい体を少し起こすと、壊れた後部ドアを開ける人影が見えた。
逆光でその顔が見えなかったが、椿は無条件に悟だと思っていた。
「なんや、生きとったんか。」
その声を聞いて、再び椿の心臓が高鳴った。
本当に直哉が殺しに来たのだと、椿の頭が確信したのだ。
直哉の手が伸びて椿に触れようとした瞬間に、椿は体を大きく跳ねさせ、絶叫した。
「いや!!殺さないで!!」
直哉の手から逃げるように、体を丸める椿を見て、直哉の手が一瞬止まる。
椿が五条家に来る情報は、五条悟の結婚の動向を窺っていた呪術師たちには伝わっていた。
伊集院家と五条家が正式に結ばれれば、御三家の均衡も、呪術界の均衡も大きく揺れ動く事態が予想されるからだ。