第11章 イカれた世界
(っまだ…呪霊に殺される年齢じゃないのにどうして?!)
それどころか、殺される元凶の直哉となにかあったわけでも無い。
なのに全身を締め付ける負の感情は、確実に椿を死に追いやっているのが分かる。
『ヺ……ァ、ヵ゙ヵ゙……ヰ゛……』
「…いや…やめて……。」
尋常じゃないほどの汗をかき、声を出そうにも見えない何かに体ごと潰されている。
ー現実で初めて訪れる死の直感だった。
「…っすば…っ。」
昴の名前を呼ぼうとしたのは体に染み付いた習慣だった。
だけどその時に、椿の脳裏に過ったのは、あの白髪の青い目だった。
「っー悟っ!悟!!」
彼を乞うのは初めてだった。
椿は体を出来るだけ小さく丸めて、力一杯悟の名前を呼んだ。
体を無理矢理引き裂かれるような痛みが全身に走った。
見えないなにかによって、椿の体は重力を無視して浮かび上がる。
「あっ…悟っ…。」
瞼を薄っすら開けた。
見えたのは、どこまでも続く漆黒だった。