第10章 結婚しない
「なんだよ。見せつけただけかよ。」
「いや、君の可能性を見せたんだ。十種影法術は君が思っているよりも柔軟で、例外を除いて二体同時の召喚までが限界なら、俺と同じように二体を融合させることも出来る。影も使い方次第で色んな可能性がある術式だ。」
昴の説明に、恵は表情を戻して昴の顔を見上げた。
悟よりも的確に十種影法術について教えてくれる昴に、恵は疑問を持った。
「…あんた…、なんでそんなに強いのに、呪術師として活動していないんだ?」
「…俺の主人が望んでいないから。俺の術式は主人の命令以外では使えない。」
「主人?何それ?縛り?」
縛りならどんなに良かったか。
強くなる目的が椿を守るためだった。
彼女の望みを叶えることが、椿を慰められることだと信じていた。
『禪院直哉を殺して。』
この手が汚れることなど、どうでも良かった。
椿の命令は、昴にとっては呪いのようなものだ。
祓っても、祓っても、張り付いてくる呪いだった。
「いや〜、久しぶりに見たわ。犬っころの領域展開。」