第10章 結婚しない
「もちろん適応をにぶらせるだけじゃ魔虚羅は祓えない。魔虚羅が術式に適応する前に消滅させるだけの術式…。」
再び昴の手印が変わり、領域内での昴の呪力が昂まった。
「!!」
昴の手印と共に九体の式神が形を変貌させる。
一つの影が浮かび上がり、原型を留めない式神たちがその影の中に吸収された。
「…魔虚羅を祓った最後の式神…統合式神『万象帰一』。」
全ての式神を吸収し、巨大な式神が昴の背後に立った。
領域展開の中でだけ行われる『万象帰一』。
魔虚羅を適応前に一撃で祓った昴の式神。
底知れぬ昴の呪力と、九体の式神が持つ力。
その実力はまさに特級。
悟から感じる呪力と同じものを、恵は昴からも感じた。
昴が手印を解くと、領域展開も解除された。
同時に帳も解除されて、薄暗かった景色に日の明かりが戻った。
「…なんの参考にもならなかった…。」
圧倒的な呪力を見せられて、恵は不服そうに昴に言った。
「…確かに、俺の術式は君には真似出来ない。」
そう言われて恵の眉間に皺が寄った。