第10章 結婚しない
「五条さんに『無下限呪術』と『六眼』があるように、俺にも『十種影法術』と特異体質があるんだ。俺の場合は眼じゃなくて心臓だけど。」
「??」
「…説明しても難しいよな。見た方が早い。」
そう言って、昴は手印を変える。
「領域展開『 万象影界』。」
昴の足元から影が広がり、恵と昴を取り囲む。
真っ暗な昴の影の領域。
領域自体に何かを付与している条件は無く、ただ暗闇が恵と玉犬を蝕んでいく。
体を強張らせる恵に、昴はさらに魔虚羅以外の式神九体を影から召喚した。
「……一度に召喚できる式神はニ体までだって…。」
初めて九体の式神をいっぺんに見た恵は、驚愕しながら体を震わせた。
「…出来るんだよ。俺の特異体質『呪心』は、鼓動するたびに呪力の波長・性質そのものを書き換える。六眼と同じで、生まれつき術師としての性能を底上げする特異体質だ。加えて、魔虚羅の適応を鈍らせる。」
「…五条さんもあんたもズルじゃん…。」
「はは…、そこは否定出来ない。」
恵の子供っぽい膨れっ面を見て、昴は昔、悟の強さに同じことを言ったのを思い出した。