第10章 結婚しない
契約書を顔の前まで持ち上げると、椿に見せつけるように真っ二つに破り捨てた。
悟のその行動に椿は唖然とした。
そら見ろ。
あの顔はなにも分かっていない。
このマンションで一緒に暮らしたいと言った時から、悟は椿が過去の恋愛事情をなんとも思っていないのは分かっていた。
昨夜は口では怒っていたような感じだったが、悟の言った言葉の意味を本当に理解していなかったのだと憤りを感じた。
今も何故、悟が契約書を破ったのか理解していない顔をしている。
「な、なんで破るのよ!」
言わなきゃ分からないのかよ。
いや、言っても分からないだろう。
悟はソファから立ち上がると、椿の腕を取って彼女を立ち上がらせた。
悟からそんな風に乱暴に扱われるのは初めてで、椿は反論の言葉も出せなかった。
そんな椿を引っ張って、玄関を開けると靴も履かせないまま椿を部屋から追い出した。