第10章 結婚しない
浮気が全部バレているなら、このマンションの存在も知られているとは思っていた。
だけどまぁ…。
椿がこのマンションに来る日が訪れるとは想像もしていなかった。
彼女をこのマンションに呼ぶ気も無かったし。
なのに今、椿はマンションの部屋に居る。
一体いつキーカードを作ったのだろうか。
『家で待ってるわ。』
そんなメッセージが送られてきて、慌ててこのマンションに帰ってきた。
「…どうしたの?」
リビングのソファに座り、物珍しそうにキョロキョロと顔を動かしている椿に悟は聞いた。
椿は悟に目線を向けると、当たり前のようにいつもの能面の顔で言う。
「一緒に暮らすのだから、私が悟の部屋に来てもおかしくないでしょう?」
その椿の言いように、悟は腕組みをしながら、大きく息を吐いた。
「…僕らが住むのはこの部屋じゃない。」
他の女を入れた部屋に椿を入れるのが嫌だった。
椿は悟の言葉の意図が分からないのか首を傾げた。