第10章 結婚しない
仕事を終えると、椿は外出の準備を昴に命じた。
普段は仕事以外で外出をしない彼女に、昴は不思議そうに視線を向けた。
そんな昴の視線に気が付いて、椿は昴に顎でしゃくるように言った。
「悟の家に行くわ。」
「?五条家ですか?」
「なんで京都まで行くのよ。東京にも悟の家はあるでしょう?」
「?」
悟の家とは…。
もしかして悟が女と会うために用意したあのマンションだろうか。
「…五条さんに呼ばれたんですか?」
さすがの五条悟も、他の女と逢引きに使っていたマンションに、椿を呼ぶなんて不敬なことをしないと思いたい。
昴の言葉に椿は不思議そうに言った。
「早く一緒に暮らしたいって言ってるのに、全然家を用意してくれないのよ。」
「…なら、俺がすぐに用意しますので、そのマンションはやめましょう。」
「なぜ?別にこだわりなんてないし、どこでもいいわ。」
椿は完璧主義に見えて、興味ないことには無頓着だ。
つまり、悟との新居に興味を持っていない。
また面倒なことになる予感しかない。