第4章 因縁の残火
「さ…左之…どうして警察に…」
ガシッ。
目眩に足を取られた剣心が、前のめりに左之助へ倒れ込む。
左之助は慌てることもなく、その体を受け止めた。
「どうして京都に、だぁ?」
ニッと口角を上げる。
「決まってんだろ。お前の“力”になってやるためだ」
同じように剣心も、力の抜けた笑みを浮かべる。
「そうか…」
「もしかして…左之助捕まったか?」
斗亜の何気ない一言に、空気が一瞬止まった。
「……」
左之助の動きが固まる。
「え…図星…?」
「“力になる”じゃなくて“足手まとい”の間違いだろうが」
斎藤が溜め息混じりに吐き捨てる。
「あんだとぉ!?」
左之助が即座に噛みつく。
「ちょっ!とにかく今は時間がないだろ…言い争ってる暇はない」
斗亜が割って入る。
「そうだ!積もる話は走りながらだ!!」
「大阪まで走れるかボケ。馬車だ、馬車」
「あ゛ー!!なんでてめぇはそう揚げ足ばっか取るんだ!!」
「だから…言い争ってる暇は…」
剣心と斗亜は顔を見合わせ、同時に深いため息をついた。
ガタガタガタッ――!
馬車が走り出すと同時に、左之助が屋根の上へ飛び乗った。
「翔ぶが如く!翔ぶが如く翔ぶが如く!!」
「よく一人で騒げるな…」
斗亜は感心というより呆れの声を漏らす。
馬車の屋根で仁王立ちした左之助は拳を突き上げた。
「目指すは大阪!いざ行かん―っとぉ!?」
ヒュッ。
下から刀が突き上げられ、左之助が慌てて飛び退いた。
「ちっ、ハズしたか…」
「「……」」
斎藤の悪意100%の攻撃に、剣心と斗亜は口をポカンと開けたまま固まる。
「話を続けるぞ」
斎藤は何事もなかったかのように煙草を吸い、地図を広げた。
「京都には五千の警官を配置してある。数では志々雄側の十倍。まず京都大火は防げると見ていい」
しかし剣心は首を振った。