【ヒロアカ】Until You Live【爆豪勝己】
第3章 【二巡目】
老婆がストーンにアロマウォーターを吹きかけた。水分がストーンの凹凸を伝って流れ、ふわりと心地よい香りが広がる。
「わぁ、良い香り…!」
透はそのまま、今度入荷するアロマオイルについて老婆と話に華を咲かせ始めた。
女子二人の会話が弾む。老婆は昔パリで香水の修行をしていたそうで、透との相性が抜群に良かった。ベルガモットの配合比率がどうとか、イランイランにはリラックス効果がとか、専門的な話題が途切れない。
完全に取り残された爆豪は、木製の椅子に腰掛け、足を貧乏揺すりしながら待たされていた。
三分経過。五分経過。
こめかみにプツリと血管が浮き始める。
「透ー! お待たせ……って、まだここ!?」
そこへ、芦戸が店に飛び込んできた。手にはピンクの紙袋。買い物を終えたらしい。そして爆豪が般若の形相で座っているのを発見し、そっと亜樹に耳打ちした。
「……あれ、そろそろ限界っぽくない?」
「聞こえてんだよクソピンク」
椅子から立ち上がった爆豪は、大股で亜樹の元へ歩み寄る。
「おい。いつまで石ころの話してんだ。帰るぞ」
「あ、うん。おばあさん、これありがとうございます。今度オイルと一緒に買いにきますね」
透はそう言って、ストーンの入ったガラス瓶をカウンターへ戻した。
「まあ、嬉しいこと言ってくれるねぇ。じゃあ入荷したらこの香り、取っとくからね」
老婆がにこにこと手を振る中、背後から爆豪の圧力がびりびりと降り注いでいた。その様子に芦戸がケラケラと笑って、一足先に店を出る。