【ヒロアカ】Until You Live【爆豪勝己】
第3章 【二巡目】
爆豪の脳内に、爆発の危険を知らせるアラートが激しく鳴り響く。
老婆を庇おうと飛び込む透の姿。
(なんで……!? なんで飛び込んでんだよ水無月ッ!!)
成功したはずだった。防げたはずだった。なのに、予期せぬ新たな変数が、死の運命を引き戻していく。
掌からパチパチと反射的に火花が散った。
「離れろ水無月ーーッ!!」
叫びながら手を伸ばした瞬間、透がストーンを力任せに払いのけた。
金属製の棚に擦れた石の摩擦火花か、あるいはガス自身の急速な発熱か――充満した高濃度ガスに、一気に火が走った。
爆ぜる。
ドォン!!と、鼓膜を破る狂暴な重低音。
眩いほどの白橙色の超高熱炎が一瞬で広がり、激しい黒煙と高圧の衝撃波が室内を爆砕する。強化ガラスが粉々に吹き飛び、木製の棚が一瞬で炭化して吹き飛んだ。
「うそ、透――っ!?」
店外にいた芦戸の悲鳴すら、爆風の音に掻き消される。
爆風で前髪が激しく吹き上がる。
爆豪の赤い目が、大きく見開かれた。
視界の先、眩しいほどの白橙色の炎と猛烈な黒煙の奥で、老婆を庇うように抱きかかえたまま崩れ落ちる小さな影。
「透ッ!!!!」
思わず名前を叫ぶ。
(俺が……俺がついてて、なんで……!?)
手を伸ばそうとしたその時、棚に並べられていた他のストーンも、衝撃で飛び散った水分と連鎖反応を起こした。激しい高熱を発しながら狂ったように連続で火を吹き爆ぜる。
二重、三重の衝撃波に吹き飛ばされ、爆豪は背中から壁に叩きつけられた。後頭部を強打し、視界がグラグラと白く眩む。
(また……守れなかった……)
自分と一緒にいれば救えるはずだった。
それなのに、目の前で燃え広がる高熱の炎。
意識が遠のく直前、最後に視界に焼き付いたのは、炎の奥で崩れ落ちた透の白い髪が、赤黒い火に包まれていく絶望の光景だった。
脳裏に、あの忌々しい死の鐘の音が、深く、重く響き渡っていた。