【ヒロアカ】Until You Live【爆豪勝己】
第3章 【二巡目】
一巡目の記憶が爆豪の脳裏をよぎった。あの廊下で、ラッピングされた何かを持っていた透の姿。
無意識に、ポケットの中で拳を握りしめる。
「……欲しいのか」
値札には学生には少し高めの価格が記されていた。
店の奥から、老婆がゆっくりとこちらを見やる。穏やかな目元に皺を寄せ、若い二人を微笑ましく眺めるような表情だった。
「あの、これ……アロマオイルは付属してるんですか?」
透が老婆に尋ねる。
「ごめんねぇ、オイルは今切らしちゃってて……。今度入荷するんだけど、もしよかったら一度、アロマウォーターで試してみるかい?」
「いいんですか!?」
透がパッと目を輝かせる。
老婆がカウンター下から小さなガラス瓶を取り出し、蓋を開けて差し出した。レモンとベルガモットが混ざったような、爽やかだがどこか深く甘い紅茶を思わせる香りがふわりと漂う。
「これと似た香りのオイルが今度入荷するよ。」
(……っ)
爆豪の鼻がひくりと動いた。嫌いな匂いじゃない。むしろ、さっきから透からほのかに漂っている紅茶の香りと、どこか似ていた。
腕を組んだまま何も言わない爆豪だったが、立ち去る気配もない。
そんな様子を見た老婆が、優しく微笑む。
「彼氏さんもどうぞ」
「彼氏じゃねぇ」
「あらあら」