【ヒロアカ】Until You Live【爆豪勝己】
第3章 【二巡目】
透はそんな二人をよそに、斜向かいの雑貨屋に目を惹かれる。アンティークな雰囲気で、宝石や木製の家具飾りが並んでいるようだ。
透の足がふらりとその店へ向かう。ショーウィンドウにはヴィクリタリア朝風のオルゴールや万華鏡、繊細なガラス細工が並んでいた。
「あ、ちょっと待って透ー!」
芦戸が慌ててアクセサリーの会計に走る。一瞬、透が一人になった。
爆豪は舌打ちを一つ漏らすと、即座に透の後を追って店内に入る。
薄暗い照明、重厚な木製の棚、使い込まれた古いベルベットの布張り。客はまばらで、奥のカウンターには店主らしき老婆が佇んでいる。静かで落ち着いた、どこか時間の止まったような店だった。
爆豪は居心地悪そうに首の後ろをガリガリと掻く。
「おい、あんまうろうろすんな」
その時、透がある棚の前で足を止めた。小物入れやオーナメントが並ぶ中、背の低いガラス瓶の中に入った、透明感のある綺麗なオレンジ色の石。
周りにゴツゴツとした灰色の岩肌が残っていて、まるで発掘途中の未完成なインペリアルトパーズの原石を模したような風合いだ。商品名を見ると、アロマストーンと書かれている。
「綺麗……」
透がぽつりと呟く。
その視線を追い、爆豪もその石に目をやった。オレンジ色の鉱石めいたアロマストーン。綺麗っちゃ綺麗だが、爆豪にとってはただの「石」以上の感想が出てこない類のものだった。
「……ただの石じゃねーか」
とは言いつつ、爆豪は透の横顔を盗み見る。山吹色の瞳にショーケースの照明が映り込んで、その石と似た色に光っていた。