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閉店屋の恋は進まない

第14章 決別


 シシィはしぶしぶ、了承した。

「……わかったけど」

「ありがとう」

 あ、でも、とおもむろに立ち上がる。

「ね、ノルバート、一個だけ、いい?」

「どうしたの?」

 そばに置いていたカバンから本を取り出す。ノルバートに突き出した。

「これ、今夜の課題図書!」

「あっ……え?!」

 突然の提案に不意を突かれ、ノルバートは少し固まった。

「はい、貸したげる」

「こ、この、流れで……?」

「だっていまから勉強する気でしょ。ちょっと頑張りすぎだよ」

「でもっ……いや、だってそれ、今週出た新しい巻、なのでは」

「そだよ」

「渡されたらついつい読んでしまうよ……」

「ノルバートならすぐでしょ?」

「えぇ…」

「大丈夫大丈夫!心配したんだから、ちょっとくらいわがまま聞いてよ」

 そう言ってシシィが押すと、ノルバートはやっと、本を受け取ってくれた。

◇◇◇

 日は暮れたものの、保健室の消灯時間にはまだ早い。
 ノルバートは怪我をしていないほうの手で、シシィが貸してくれた本のページを捲る。

 ついに読み終わる手前に来たところで、彼は手を止め、呟いた。

「……やっぱり」

 心配をかけたのに。
 ひどく、重い話を聞かせたのに。

 ……逃げてくれてもいい。そう決めて話したのに。

「甘えたくなってしまってる。……よくないな」

 声にならない声は、ただ、枕に沈んでいった。
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