第14章 決別
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同じ頃。シシィはそろそろ勉強を切り上げて寝る支度をしていた。
勉強は制作に比べて圧倒的につまらなくて、試験前はむしろ生活が整う。でも、今日に限ってはすぐに寝つける気はしなかった。
わたしの気持ち、ほんとは全然、即答しても良かったのにな。
……先に止められちゃったな。
シシィは歯を磨きながら今日のことを思い出す。
ノルバートは本当に真面目で、やさしい。ずっと隅っこの隣で見てきたのだ。今日のあの話を聞いても、その認識は特に崩れなかった。
彼は自分と関わる上でのリスクのことまで気にしていたけれど、それだって彼が悪いわけではない。
でも、ノルバートらしいと言えば、それはそう。
シシィは今日何度目かのため息をつく。
わたしが、すぐ相手に合わせちゃうのも知ってくれてるし、だからかも。
シシィのそういうところを、彼はよく見ている。
じゃあ、少し待ってから答えたほうが……ノルバートも安心してくれるかな。
何回も同じところをブラシが往復している気がして、一旦考え事を切り上げようとした。
でも、簡単には止まらない。
「正直、もうあまり未練はないんだ」
ノルバートはああ言ったけど。
うそでしょ。
だって未練ない人の喋り方には、聞こえなかったし。
たぶん、ずっと忘れたことなんかないんだ。
家のこと。お兄さんのこと。
もう会えない、ぺぺのこと。
シシィはつぶやいた。
「普通に、犬好きなだけって思ってたけど、違うじゃん。辛いとこ隠すの、うますぎるよ……」