第5章 誤読と美術館
外はよく晴れて、日差しが心地よかった。
「今日の展示、すごいよかったねー!」
「うん、好きな画家の絵もみれた」
会場の人混みの中ではなかなか言葉を交わす余裕がなかったけれど、大きな公園のベンチで二人、シシィが購入した画集を一緒にめくったり、長い事喋っていた。
「緻密に描き込むところはメインに絞れ〜って話よく聞くけど、今日の画家の絵みて少し掴めたかも」
シシィの感想は半分くらい研究発表だ。
「やっぱり、描く人は目の付け所、見る専門と色々違うね」
「そうかな。そうかも?とにかくほんとに絵がうますぎて!」
ノルバートのほうは、レポートに使えそうなその画家の小話などを色々と教えてくれた。
シシィから見た今日の彼は、好きな画家のポストカードが何枚か買えてとても嬉しそうだった。
そのせいか少し声が弾んでいて、どこまでもただのオタクだったけど、いつも以上に近くでたくさん話してくれる。いっぱい声が聞けてしまう。
このタイミングのシシィにとってはだいぶ供給過多だ。
そうして話し込むうちに、日陰は長く伸び、少しばかり風が冷えてきたので、二人は近くの喫茶店に移動した。