第5章 誤読と美術館
比較的、空いている時間を狙ったはずなのだが。
美術館は団体客がいたせいで案外混んでいた。
シシィは入場前から照れと緊張でどうしても少し距離をとってしまっていた。
その状態で混雑に揉まれると案の定、たびたび押し流されてはぐれそうになり、その度にノルバートのほうから戻ってきてくれる。
自分が作品を見ていた途中だろうと、一定の距離シシィが離れると長くは放っておこうとしない。
え? なんで?
……って、なんでじゃない!!! こ、これ、絶対わたしの誘い方が原因!!!
そう考えているうちにまたもや割り込まれかけて、シシィは咄嗟にノルバートの袖を掴み……少し引っ張る形になってしまった。
「っごめ……!」
すぐ離さなきゃ、と思ったのに。
「いいよ 大丈夫?」
そう言って、彼は肩を少しシシィのほうに傾けた。
様子を見てくれる薄水色の視線が優しい。
「あ、ありがと」
やば、顔が赤いのばれちゃう。シシィは今回も少しだけ、彼の背中側に逃げた。
ノルバートの方はというと。
……そ
袖 を 掴まれている…………!!!!
限界。
これは、どういう……
シシィ的にはその距離感……ありなのか?!
か かわいい。
とんでもなくかわいい。
でも……ここで調子に乗って手とか繋ぐのは、良くない……!!
指先の重みを感じながら、必死で態度に出ないよう理性を動員する。
くれぐれも、最低限のエスコートに抑えねば。