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閉店屋の恋は進まない

第2章 パーティと隅っこ 後編


「へぁっ」
 声が裏返る。

 …こそこそしてるのばれてたーー!

 動揺しながら、シシィはやっとのことで言葉を振り絞った。

「あの、あのあの、ごめんなさいパーティの時、ほんとに、たくさん迷惑……!」

 彼はその勢いに少し驚いたように目を丸くした。

「あ、いや、僕もああいう場所得意じゃないし、1人で抜けるのも……って感じだったから大丈夫だよ」

「えっ……」
 大丈夫って……? そんな、なんでそこまで気を使ってくれるのか。

「そうなん、ですか……?」

「うん。人が多いところってどうしても苦手で……情けない話だけど、あまり向かなくて」

「え? で、でも しゃべるの、うまい、のに……」
 どう見ても、できる人なのに。

 しかし、彼はその言葉になんだか驚いたようだった。

「そんなことは……あ、いや、ありがとう、そう見えたならよかった。でも、緊張してしまうのは本当で」

 そして、シシィの反応を見て付け足す。

「その……実は、今も、すこしね」

「あ……だんだんぼろが出るというか、じきにわかるというか……」

「……いや、ごめん、変なこと言ったね」

 眉を下げて笑う彼は、確かに少し恥ずかしそうだった。


「いまも……」

 シシィは繰り返す。
 情報を飲み込むのに少しかかってから。

「……そっか。そうなんだ……よ、よかった〜〜!」

「……えっ?」

「ご、ごめんなさい、よかった、はおかしいんだけど……! でも……でも、緊張、わたしだけじゃ、ないんだって……」
 そう言いながら、張り詰めていた気持ちが一気にとけて、シシィは急に笑いだしてしまった。


 それからは、二人とも少しだけ喋りやすかった。

「あ、あのね」
 シシィはさっきから震えを誤魔化すため、胸の前で握りしめていた両手をやっと緩めた。
「私、すぐ手が震えてばれちゃうから、はじめての人と喋る時いつもこの格好しちゃって……その、あったばっかりなのにまたこんな話」

「……ううん、わかるよ。僕はすぐ耳が赤くなるから……つい手で隠そうとしてしまう、かな」
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