第3章 両面宿儺
【鑑賞会】
「また来たのか」
宿儺の生得領域に足を踏み入れたロロを見て、宿儺は退屈そうに頬杖をついた。
「はい。今日は新作です」
ロロが掲げたのは、大袋のポテトチップス。袋を開けると、パリッという軽い音が静かな領域に響く。ロロは宿儺の隣に座り、領域に映る景色へ目を向けた。そこには、虎杖達の日常がぼんやりと映っていた。
「あ、虎杖君が伏黒さんに怒られてます」
映像では、虎杖が何か失敗したらしく、伏黒が呆れた顔をしていた。思わず笑うロロに、宿儺は鼻で笑う。
「くだらん」
そう言いながらも、視線は映像から外さない。
「宿儺様、食べます?」
ポテチを差し出すと、宿儺は当然のように一番大きな1枚を取った。
「それ私が狙ってたのに!」
「遅い」
「子供ですか」
「力ある者が勝つ」
勝ち誇る宿儺に、ロロは頬を膨らませた。しばらく2人で映像を眺めていると、虎杖が転んで釘崎に笑われる姿が映る。
「あははっ」
思わず吹き出したロロにつられたのか、宿儺の口元もわずかに緩んだ。
「…今、笑いました?」
「笑っておらん」
「笑いましたよね?」
「気のせいだ」
頑なに認めない宿儺が面白くて、ロロはさらに笑う。袋の中身は、残り1枚。ロロと宿儺の手が同時に伸びる。
「最後の1枚!」
「俺のだ」
どちらも譲らず見つめ合う。数秒後、宿儺はため息をつき、そのポテチを半分に割った。
「ほら」
「…え?」
「1人で食うより騒がしい方が退屈しない」
ぶっきらぼうな言葉に、ロロは思わず笑みをこぼす。
「ありがとうございます」
「礼などいらん」
領域に響くのは、パリッというポテチの音と、ロロの楽しそうな笑い声。誰も寄せつけない呪いの王の領域は、ロロが来る時だけ穏やかな空気に包まれるのだった。