第18章 菅原孝支
【シャインマスカット】
休日の午後。窓から柔らかな日差しが差し込む部屋で、ロロと菅原は並んで座っていた。テーブルの上には、冷たく冷やしたシャインマスカット。
「ほら、孝支。食べよ」
「うん」
菅原は一粒つまむと、自分の口へと思った瞬間、ふっと笑った。
「やっぱ、こっち」
「え?」
「ロロから食べさせてもらいたい」
「…甘えんぼ」
「今日、休みだから」
そう言って、菅原は少しだけ口を開ける。
「はい、あーん」
ロロが一粒入れてあげると、菅原は幸せそうに目を細めた。
「ん。おいしい」
「よかった」
「でもさ」
菅原はロロの手をそっと取る。
「シャインマスカットより、ロロに構ってもらえるほうが嬉しいかも」
「…孝支」
「ん?」
「恥ずかしいよ」
「俺は嬉しい」
くすっと笑って、菅原はロロの肩に頭を預けた。
「もうちょっと、このままでいよ」
「シャインマスカット食べないの?」
「食べるよ」
そう言いながら、菅原は一粒つまむ。
「はい、今度はロロ」
ロロが口を開けると、菅原は嬉しそうに笑った。
「…かわいい」
「もう…」
「だって本当にかわいいんだもん」
照れたロロを見て、菅原はさらに嬉しそうに笑う。そして残りの二粒。
「最後は一緒に食べよ」
「うん」
2人で同時に口へ運ぶ。
「甘いね」
「うん」
菅原はロロを見つめたまま、優しく笑った。
「でも、今日のほうがもっと甘い」
「どういう意味?」
「ロロと一緒だから」
そう言って、菅原は照れくさそうにロロの手を握る。休日の静かな午後。シャインマスカットの甘さと、繋いだ手の温かさ。どちらも、いつまでも消えてほしくなかった。