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短編

第17章 月島蛍


【甘えん坊】


放課後の体育館。

「月島、スポドリここに置いておくね」

「…ありがと」

いつも通り素っ気ない月島。でも、ロロが他の部員のところへ行こうとすると、袖をそっと掴まれた。

「…どこ行くの」

「え?次、日向たちのところに」

「今、僕が欲しいんだけど」

「スポドリ?」

「…違う」

月島は少しだけ視線を逸らす。

「雨宮」

「え?」

「…ちょっと、ここにいて」

珍しく素直な言葉に、ロロは隣へ座った。しばらくすると、月島の肩がそっと触れる。

「月島?」

「疲れた」

「大丈夫?」

「うん。だから、少しだけ」

肩を預けてくる月島。普段なら絶対に見せない甘えた姿に、ロロは思わず笑った。

「月島って、意外と甘えん坊?」

「…今の忘れて」

「嫌」

「じゃあ、もう二度としない」

「それは寂しいな」

そう言うと、月島は黙り込んだ。そして小さな声で。

「…じゃあ、雨宮にだけ」

「え?」

「僕がこうするの。雨宮にだけだから」

耳まで赤くなった月島が、ほんの少しだけ肩に頭を預け直す。

「マネージャーとしてじゃなくて、僕のことちゃんと特別扱いしてよ」

その声は、いつもの意地悪な月島からは想像できないほど甘かった。
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