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短編

第16章 影山飛雄


【トランプ占い】


ロロが机にトランプを広げていると、影山が覗き込んできた。

「何してんだ?」

「トランプ占い。影山もやる?」

「占い…?」

興味なさそうに眉を寄せながらも、影山は向かいの椅子に座った。

「1枚引いて」

影山が適当にカードを抜く。

「ハートのエース!」

「それ、恋愛運だとかなりいいカードだよ。好きな人がいるなら、気持ちが強くなってるんだって」

「…ふーん」

影山はカードを見つめたまま、耳だけ赤くなっている。

「次は、好きな人との相性」

渋々引いたカードは、ハートの2。

「これもすごい。お互いの気持ちが近づくカード!」

影山が急に黙り込む。

「どうしたの?」

「…雨宮って、好きな奴いるのか?」

「え?」

「占いしてんだから、いるのかなって」

「秘密」

「なんでだよ」

影山が少し不満そうに眉を寄せる。ロロは笑いながら最後のカードを差し出した。

「じゃあ最後。告白したらどうなるか」

影山の手が止まる。それでも1枚引く。ハートのキング。

「わ…!誠実な気持ちを持ってる人、だって」

「…そうか」

影山はカードを置いた。そして、まっすぐロロを見る。

「じゃあ、占いじゃなくて俺から言う」

「え?」

「俺、雨宮が好きだ」

真っ赤になりながらも、影山は目を逸らさなかった。

「カードが何出ても関係ねぇ。俺が好きなのは、雨宮だから」

ロロが頬を赤くして笑う。

「…占い、当たったね」

「…ああ」

影山は照れながら、机の上の三枚のハートを見た。

「俺、運いいかもな」

「どうして?」

「好きな奴が、俺のこと見て笑ってるから」

夕暮れの教室に、二人の笑い声が響いた。
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