第2章 虎杖悠仁
【スクイーズ】
「ただいまー!」
玄関から声がすると、虎杖が部屋から飛び出してくる。
「おかえり!…って、何その袋?」
ロロが後ろ手に隠していた小さな袋を見て、虎杖が興味津々で近づいてくる。
「秘密」
「えー、気になる!」
「じゃあ、目つぶって」
「え、なになに?」
素直に目を閉じる虎杖の前で、袋からスクイーズを取り出す。
「はい、どうぞ」
「…もう開けていい?」
「うん」
悠仁が目を開ける。
「うわっ!」
そこにあったのは、可愛らしいパンの形をしたふわふわのスクイーズ。
「これ買ってきたの?」
「うん。悠仁が前に欲しいって言ってたから」
「覚えてたの!?」
嬉しそうに笑って、両手で大事そうに持ち上げる。
「めっちゃかわいい!」
「触ってみて」
「いいの?」
「もちろん」
虎杖が指先でそっと押す。
むにっ。
「おお…!」
もう一度。むにむに。
「すげぇ。ずっと触ってられる」
「気に入った?」
「うん!」
虎杖は夢中になってスクイーズを握っている。けれど、しばらくすると突然、ロロを見る。
「…ねえ」
「何?」
「これ、俺が持ってていい?」
「うん。プレゼントだもん」
「ほんと?」
「ほんと」
「やった!」
虎杖は嬉しそうに笑う。
「ありがとう」
「どういたしまして」
すると虎杖は少し照れながら近づいてきた。
「…もう1個、欲しいものがある」
「何?」
「ぎゅーってしていい?」
虎杖は笑って、ロロにそっと抱きつく。
「こっちはもっと欲しかった」
「悠仁…」
「だって、買ってきてくれたの嬉しかったから」
背中に回った腕が、ぎゅっと優しく力を込める。
「ありがと。大事にする」
「うん」
「…でも」
「まだ何かあるの?」
「もうちょっとだけ、このまま」
「ふふ、いいよ」
ロロが背中を軽く撫でると、虎杖は安心したように笑った。片手にはスクイーズ。もう片方の腕では、大好きなロロをぎゅっと抱きしめて。
「今日、最高の日かも」
虎杖は嬉しそうに呟いた。