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短編

第2章 虎杖悠仁


【夏】


蝉の声が、窓の外から途切れず聞こえていた。

「…暑い」

ロロが机に突っ伏すと、隣の虎杖も手で顔を扇いだ。

「分かる。今日めちゃくちゃ暑いよな」

「悠仁、飲み物ある?」

「あるよ。はい」

差し出された冷たいペットボトルを受け取る。

「ありがとう」

「どういたしまして」

ロロが首元にペットボトルを当てると、虎杖が笑った。

「気持ちよさそう」

「すごく気持ちいい」

「じゃあ、これも使う?」

虎杖はロロのうちわを手に取った。

「貸して」

「何するの?」

「扇いであげる」

虎杖はゆっくりとうちわを動かす。

「どう?涼しい?」

「うん。ありがとう」

「よかった」

しばらくして、ロロが虎杖を見る。

「悠仁は暑くないの?」

「暑いよ」

「じゃあ交代する?」

「いや、いい。ロロが涼しそうにしてるほうが嬉しいから」

「…優しいね」

「好きな人には、これくらい普通だろ」

言った本人が固まる。

「…あ」

「悠仁?」

「今の忘れて!」

虎杖の耳が真っ赤になる。ロロが笑うと、虎杖はますます照れた。

「もう…笑うなって!」

「だって可愛いから」

「それ言われるほうが恥ずかしい!」

2人で笑う。外はうだるような暑さ。けれど、隣にいる虎杖の笑顔のおかげで、その夏の日は少しだけ涼しく感じられた。
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