第2章 虎杖悠仁
【万華鏡】
「ね、悠仁。万華鏡、見て見て」
ロロが差し出すと、虎杖は「お、いいじゃん!」と嬉しそうに受け取った。くるり、と回す。
「うわ、すっげぇ!」
子どものように目を輝かせる横顔に、ロロは思わず笑みをこぼした。
「そんなに気に入った?」
「うん。でも」
虎杖は万華鏡をそっと下ろし、じっとロロを見つめる。
「ロロのほうが綺麗」
「…え?」
「だから、万華鏡見てても途中でロロのほう見ちゃう」
あまりに真っ直ぐな言葉に、心臓が跳ねた。
「もう、急にそんなこと言わないで」
照れて俯くと、虎杖は困ったように笑う。
「ごめん。でも本当なんだ」
そのまま隣へ座ると、肩と肩が触れ合う。逃げようとしたロロの手を、虎杖はそっと握った。
「手、冷たい」
包み込むように握られた手は、驚くほど温かい。
「俺が温めてあげる」
指を絡めるように恋人つなぎになると、ロロはますます顔が熱くなった。
「悠仁…」
名前を呼ぶだけで精一杯。虎杖は照れたように笑いながらも、手を離そうとはしない。
「こうしてると安心する」
「私も」
その返事を聞いた瞬間、虎杖の表情がふわっと緩んだ。
「よかった」
そう言うと、虎杖はロロの額に自分の額をそっと寄せる。
「これから先もさ」
優しい声が、すぐ近くで響く。
「万華鏡の景色が何回変わっても、俺の一番好きな景色は変わらない」
「…どんな景色?」
虎杖は迷いなく答えた。
「俺の隣で笑ってるロロ」
その一言だけで胸がいっぱいになり、ロロは彼の肩にもたれかかる。虎杖は嬉しそうに笑って、繋いだ手を少しだけ握り直した。
「今日は帰りたくないな」
甘えるようにこぼしたその本音に、ロロが「私も」と笑うと、虎杖は飛びきり幸せそうな笑顔を見せた。その笑顔は、どんな万華鏡よりも眩しくて、世界中の景色が色あせて見えるほどだった。