第2章 虎杖悠仁
【大型犬】
虎杖は、皆の前では頼れる人だった。明るくて、優しくて、誰かが困っていれば迷わず手を伸ばす。でも、ロロの前だけは少し違う。
「…ねえ」
「どうしたの?」
「あと5分だけ」
そう言って、虎杖はあなたの袖をつまむ。
「何が5分?」
「一緒にいる時間」
大きな体なのに、甘え方は子どもみたいだった。
「悠仁、明日も会えるでしょ?」
「分かってる」
素直に頷いたあと、少しだけ寂しそうに笑う。
「でも、会えるのと、今一緒にいたいのは別じゃん」
その言葉に、思わず笑ってしまう。
「本当に大型犬みたい」
「え?」
「好きな人のそばから離れたくないところ」
虎杖は少し考えて、照れたように笑った。
「…否定できない」
任務中の虎杖は、誰よりも勇敢だ。怖くても前へ進む。でも終わった瞬間、一番最初に探すのはロロだった。
「いた」
ロロを見つけた時の顔は、安心した大型犬そのものだった。
「お疲れ」
そう声をかけると、虎杖は嬉しそうに近づいてくる。
「今日さ、頑張ったから」
「うん」
「褒めてほしい」
ロロは珍しいお願いに目を丸くする。
「悠仁を?」
「俺だって褒められたい時あるよ」
少し恥ずかしそうに笑う。
「ロロに言われると、もっと頑張れるから」
頭を撫でると、虎杖は目を細めた。
「ねえ」
「何?」
「これからも、俺が帰ってくる場所でいてくれる?」
まっすぐな瞳。守るだけじゃなく、甘えることもできる場所。ロロが頷くと、虎杖は満面の笑顔になる。
「約束な!」
その顔は、嬉しくてしっぽを振っている大型犬みたいだった。