第2章 虎杖悠仁
【再会】
何十年経っても、虎杖は約束を忘れなかった。
『また会おうね』
最後の日、ロロが残した言葉。寿命の違う2人には、あまりにも残酷な約束だった。ロロがいなくなった後も、虎杖は歩き続けた。人を助けながら、心の片隅でずっと願っていた。もう一度、ロロに会えますように。ある春の日。桜の木の下で、虎杖は足を止めた。理由は分からない。ただ、ここに来なければいけない気がした。
「すみません」
背後から声がする。その瞬間、胸が大きく跳ねた。聞き間違えるはずがない。忘れるはずがない。ゆっくり振り返る。そこにいたのは、知らない少女だった。姿も、声も、何もかも違う。でも、その瞳だけは。
「…悠仁、さん?」
名前を呼ばれた瞬間、虎杖の目から涙が落ちた。
「なんで…」
震える声で呟く。
「なんで俺の名前、知ってるんだよ」
少女は困ったように笑った。
「分からない。でも、ずっと探していた気がするの」
その言葉で、虎杖は確信した。何十年も待ち続けた人が、帰ってきた。
「…遅いよ。ずっと待ってたんだぞ」
虎杖は泣きながら笑う。ロロは不思議そうに虎杖を見る。
「私たち、前に会ったことがあるの?」
虎杖は首を横に振った。今のロロには、まだ何も分からない。だから優しく手を差し出す。
「ううん、これから作るんだ。今度は、もっと長い時間を一緒に過ごそう」
ロロがその手を取った瞬間、胸の奥に温かな記憶が流れ込む。笑顔。涙。約束。大切な人の温もり。
「…悠仁」
ロロの瞳から涙がこぼれる。
「やっと、会えた」
虎杖は何度も頷いた。
「おかえり」
桜の花びらが舞う。さよならで終わったはずの恋は、長い時を越えてもう一度始まった。