第2章 虎杖悠仁
【必殺技】
「…ねえ、悠仁」
任務帰りの土手を並んで歩きながら、ロロは空を見上げた。
「ん?」
「私も必殺技が欲しい」
虎杖は一瞬きょとんとしたあと、「いいじゃん!」と満面の笑みを浮かべた。
「どんなのがいい?」
「うーん、皆にはあるでしょ?黒閃とか、領域展開とか。私にも、これだ!っていう技が欲しいの」
虎杖は腕を組んで真剣に考え始める。
「じゃあ、今から作ろう!」
「そんな簡単に?」
「案ならいっぱいある!」
虎杖は指を1本立てた。
「まず1つ目!拳に呪力を集めて、一瞬だけ爆発みたいに放つ技!」
「おお、強そう」
「名前は『流星拳』!」
「ちょっと王道すぎない?」
「じゃあ2つ目!呪力を足に集めて、一気に相手の懐へ飛び込む!」
「それ、移動技?」
「うん!名前は『迅雷』!」
「格好いい!」
「3つ目!」
今度はロロの手を軽く取る。
「呪力を手のひらに集めて、触れた相手を吹き飛ばす!」
「近距離向けだね。」
「名前は『暁撃』!」
ロロは思わず笑った。
「悠仁、意外とネーミングセンスあるね」
「だろ?」
胸を張る姿がおかしくて、また笑ってしまう。すると虎杖は、急に真面目な顔になった。
「でもさ、必殺技って強いだけじゃ駄目なんだ。ロロらしい技じゃないと」
「私らしい…」
「うん。誰かの真似じゃなくて、ロロが守りたいものとか、ロロの戦い方が詰まってる技」
虎杖はロロの拳を優しく包む。
「だから焦らなくていい」
その温もりが、じんわりと伝わる。
「俺、一緒に考える」
「最後まで?」
「ああ。ロロの必殺技が完成する瞬間まで、俺が隣にいる」
その言葉だけで、不思議と力が湧いてきた。
「ありがとう」
「礼なら、完成したら聞かせて」
「何を?」
虎杖はいたずらっぽく笑う。
「必殺技の名前を叫ぶ声」
2人は顔を見合わせて笑い合う。まだ名前も形もない必殺技。けれど、それを一緒に探してくれる人が隣にいることが、ロロには何より心強かった。