第2章 虎杖悠仁
【ロミオとジュリエット】
どうして、好きになってしまったんだろう。そう思うたびに、胸の奥が少しだけ痛んだ。虎杖とロロは、本当なら交わるはずのない場所にいた。虎杖は呪いと戦う人。 ロロは、ただ虎杖の帰りを待つだけの人。周りは何度も言った。「やめた方がいい」「いつか傷つくよ」まるで、悲劇の恋人たちみたいに。でも、虎杖はいつも笑っていた。
「俺さ、運命とかあんまり信じないんだ」
夕暮れの帰り道。 虎杖は少し照れたように頭を掻く。
「でも、ロロと出会えたことは、絶対に偶然じゃないと思ってる」
その言葉に、涙が出そうになった。虎杖は優しい。誰かを救おうとして、自分のことを後回しにするくらい。だから怖かった。いつか虎杖が、遠いところへ行ってしまう気がして。
「悠仁」
「ん?」
「もし、私たちがロミオとジュリエットみたいだったら…どうする?」
冗談みたいに聞いたロロに、虎杖は少しだけ目を丸くした。そして、真剣な顔で言った。
「悲しい結末にはしない。だって俺、好きな人を諦めるとか無理だから」
真っ直ぐな瞳。迷いのない言葉。
「どんな壁があっても、ちゃんと迎えに行く」
虎杖の愛は、派手じゃない。甘い台詞で飾ることもない。でも、その手はいつだって温かくて、その笑顔はどんな暗闇よりも眩しい。
「俺は英雄じゃないけどさ」
虎杖はロロの手を握る。
「ロロの所に帰る約束くらいは守れる」
ロミオとジュリエットは、運命に引き裂かれた。けれどロロ達は違う。何度傷ついても、何度迷っても。最後には、同じ場所で笑う。
「悠仁」
「ん?」
「来世でも見つけてくれる?」
虎杖はいつもの優しい笑顔で笑った。
「当たり前だろ。何回生まれ変わっても、絶対見つける」
月明かりの下で交わした約束。悲劇の恋じゃない。これは、どんな運命にも負けない、ロロ達の物語。