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短編

第2章 虎杖悠仁


【墓参り】


虎杖は花束を抱え、祖父の墓の前で静かに手を合わせていた。ロロは少し後ろで、その姿を見守る。

「…じいちゃん。今年も来た」

風が吹き、線香の煙がゆっくり空へ昇る。

「俺さ、相変わらず失敗ばっかりだけど、じいちゃんの言葉だけは忘れてない」

『オマエは強いから、人を助けろ。大勢に囲まれて死ね』

虎杖は照れくさそうに笑う。

「ちゃんとできてるかは分かんねぇけど、俺なりに頑張ってる」

その横顔は少しだけ寂しそうだった。ロロは隣へしゃがみ、小さく手を合わせる。

「初めまして。悠仁の恋人です」

照れ笑いを浮かべた虎杖は、耳まで真っ赤だった。

「じいちゃん。俺さ、一人じゃないんだ」

そう言って、ロロの手をそっと握る。

「つらいことがあっても、ロロが隣にいてくれる」

握る力は少しだけ強くなる。

「だから安心して見てて」

静かな沈黙のあと、2人で墓前に頭を下げた。帰り道。

「ありがとう」

虎杖がぽつりと言う。

「何が?」

「じいちゃんにロロを紹介できて、なんかすげぇ嬉しかった」

「私も会えてよかったよ」

「いつかさ」

悠仁は照れくさそうに笑う。

「『ロロと家族になったよ』って、また報告しに来たい」

その一言に胸が熱くなる。ロロが頷くと、虎杖は安心したように笑い、ぎゅっと手を握り直した。夏の風が2人の背中を優しく押し、まるで祖父が「幸せになれ」と見守ってくれているようだった。
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