第2章 虎杖悠仁
【ダンス】
冬の朝。目覚ましが鳴っても、部屋はしんと静かだった。
「…寒い」
布団にくるまったロロが小さくつぶやくと、隣で目を覚ました虎杖が眠そうに笑う。
「同感」
2人とも布団から顔だけ出して、天井をぼんやり見つめる。
「起きなきゃなあ」
「うん、でも出たくない」
「そうだな」
しばらく沈黙が続いたあと、虎杖が突然起き上がった。
「よし!こういう日は、体あっためれば勝ち!」
スマホから軽快な音楽を流すと、虎杖は部屋の真ん中で楽しそうにリズムを取り始める。
「ほら!」
「朝から?」
「朝だから!」
大きく手を差し出され、ロロは笑いながらその手を取る。
「ダンスなんてできないよ」
「できなくてもいいって!」
虎杖はくるりと一回転して、大げさに両手を広げる。
「音に合わせて動くだけ!」
つられて一歩、また一歩。ぎこちない足取りで踊る。
「それそれ!」
「変じゃない?」
「全然!めっちゃいい!」
部屋の中をくるくる回っているうちに、冷えていた体が少しずつ温まっていく。ロロが笑えば、虎杖も笑う。虎杖が変なステップを踏めば、ロロは思わず吹き出す。曲が終わるころには、2人とも息を切らしていた。
「…あったかい」
「だろ?」
得意げに笑う虎杖は、親指を立てる。
「冬は笑って動けば勝ち!」
「そんなルールある?」
「今、オレが作った!」
あまりにも虎杖らしい答えに、ロロはまた笑ってしまう。窓の外はまだ冷たい冬の景色。でも部屋の中は、笑い声と少し弾む息で、春が来たみたいにぽかぽかだった。