第2章 虎杖悠仁
【西中の虎の彼女】※中学生の虎杖
「ねえ、あの子って…」
「え、もしかして西中の虎の彼女?」
昼休みの廊下は、その一言でざわついた。ロロはため息をつく。
「また噂になってる…」
すると後ろから、「ロロ!」と明るい声とともに虎杖が駆け寄ってきた。
「昼、一緒に食べよ!」
周りの視線など気にせず笑う虎杖に、ロロは少し照れながら頷く。
「うん」
その瞬間、廊下のざわめきはさらに大きくなった。
「本当に付き合ってるんだ…」
「西中の虎でも、彼女の前じゃ普通だな」
その声が聞こえたのか、虎杖は苦笑いする。
「また、西中の虎かぁ」
「有名人は大変だね」
「有名なのは、勝手に噂されてるだけだって」
虎杖はそう言ってロロの手首を軽くつかみ、人の少ない中庭へ連れていく。
「やっと静か」
ベンチに並んで座ると、虎杖はほっと息をついた。
「ロロまで注目されちゃうの、ちょっと嫌なんだ」
「私は平気だよ」
「俺が平気じゃない」
虎杖は少し照れたように笑う。
「ロロには普通に学校生活送ってほしいし」
「優しいね」
「好きな人にはそうなるよ」
あまりにも自然に言われ、ロロの頬が赤く染まる。
「…ずるい」
「何が?」
「そういうこと、恥ずかしがらずに言えるところ」
虎杖は照れ笑いを浮かべながらロロの手をそっと握った。
「だって本当だから」
握る力は優しく、それでいて離したくないという気持ちが伝わってくる。
「西中の虎なんて呼ばれる俺より、ロロの彼氏として隣にいる俺のほうが好きなんだ」
ロロは小さく笑って、その手を握り返した。
「じゃあ私は、西中の虎じゃなくて、私だけに甘えてくれる悠仁が一番好き」
その言葉に虎杖は耳まで真っ赤になりながらも、嬉しそうに笑った。
「…それ聞いたら、今日一日ずっと頑張れそう」