• テキストサイズ

短編

第2章 虎杖悠仁


【水も滴るいい男】


任務を終えた帰り道。突然の夕立に、高専へ向かう二人はびしょ濡れになった。

「うわっ、すげぇ降ってきた!」

虎杖は笑いながら前髪をかき上げる。雨粒が桃色の髪を伝い、頬を流れ落ちる。その姿はまるで雑誌の一枚みたいに絵になっていた。

「…」

思わず見惚れていると、虎杖が首を傾げる。

「ん? どうした?」

「水も滴るいい男、だなって」

その一言で、虎杖はきょとんとしてから耳まで真っ赤になった。

「え!? な、何それ急に!」

「事実だけど」

「そういうことサラッと言うの反則だって!」

照れ隠しに頭をわしゃわしゃとかき混ぜる虎杖だったが、濡れた髪がさらに乱れてしまう。

「ほら」

ロロはそっと前髪を整えてあげる。指先が額に触れた瞬間、虎杖は息を呑んだ。

「…近い」

「はい、終わった」

手を離そうとすると、虎杖がその手首を軽く掴んだ。

「俺さ、水も滴るいい男って言われたの、めちゃくちゃ嬉しかった」

照れ笑いを浮かべた虎杖は、そのままロロの額へ軽くコツンと自分の額を当てる。

「でもさ」

「うん」

「俺から見たら、ロロの方がずっとかっこいいし、可愛い」

雨はまだ降り続いている。けれど二人は急いで帰ることも忘れ、顔を見合わせて笑った。

「風邪ひくぞ」

「じゃあ走る?」

「競争な!」

虎杖は楽しそうに手を引き、雨の中を駆け出した。その笑顔は、雨に濡れていても太陽みたいに眩しかった。
/ 189ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp