第2章 虎杖悠仁
【悪役令嬢のその後】※異世界トリップ
「ー婚約破棄だ。」
王子の一言で、悪役令嬢だったロロの人生は終わるはずだった。けれど次の瞬間、足元に黒い穴が現れてそのまま飲み込まれる。
「きゃっ!」
目を開けると、そこは見たことのない街だった。高いビル、人混み、聞き慣れない言葉。
「ここは…、どこ?」
混乱して歩いていると、突然呪霊が現れる。
「いや…!」
逃げられず立ち尽くしたその時。
「危ない!」
勢いよく飛び出してきた少年が、拳一つて呪霊を吹き飛ばした。
「大丈夫?」
ピンク色の髪に、人懐っこい笑顔。
「私は…助かったのですか?」
「うん!もう安心して」
その笑顔に張り詰めていた心がほどけ、ロロはその場に座り込んでしまう。
「立てる?」
差し出された手を握ると、不思議なくらい温かかった。
「俺、虎杖悠仁!」
「…私は、ロロと申します」
高専に保護されたロロは、この世界は呪霊と戦う世界だと知る。慣れない生活に戸惑うたび、虎杖はいつも隣にいた。
『箸はこう持つんだ』
『その服、歩きにくくない?』
『困ったら俺を呼んで』
誰よりも優しく接してくれる虎杖に、ロロの心は少しずつ惹かれていった。
ある日、任務から帰ってきた虎杖の制服には、裂けた傷があった。
「怪我を…!」
思わず駆け寄るロロに、虎杖は笑う。
「かすり傷だから平気!」
「平気ではありません!」
思わず袖を握る。
「悠仁様が傷つくたび、胸が苦しくなるのです…」
その言葉に、虎杖は目を丸くする。しばらく黙った後、照れたように笑う。
「それ、俺も同じ」
「え…?」
「ロロが危ない目に遭うと、本当に怖い」
そっとロロの手を包み込む。
「悪役令嬢だったとか関係ない。今のロロは優しくて、一生懸命で…俺はそんな君が好き」
突然の告白に、ロロの瞳から涙がこぼれる。
「私も…悠仁様を、お慕いしております」
「様はいらないよ。悠仁って呼んで」
「…悠仁」
名前を呼ぶと、虎杖は耳まで赤くしながら笑った。破滅するはずだった悪役令嬢の運命を、呪術廻戦の世界で出会った1人の少年により、幸せな未来へと変わり始めていた。